夏のエアコン代ほど、毎月の家計簿を圧迫する恐ろしい存在はないと思う。
設定温度を気にしたり、誰もいない部屋のスイッチをこまめに消したり、涙ぐましい努力をしている人も多いかもしれない。
私も以前は、少しでも電気代を浮かせたくて、夜寝る前や外出するたびにエアコンを停止させていた。
そんな私が、ある夏の1ヶ月間、思い切って24時間つけっぱなしにする生活に踏み切ってみた。
冷や冷やしながら電力会社のデータを確かめたところ、そこには予想を裏切る驚きの結果が待っていた。
エアコンの電気使用量を比較した我が家の検証結果
夜間停止と24時間稼働を比較した背景
「エアコンは24時間つけっぱなしにした方が安い」という噂は、以前からネットやテレビで何度も耳にしていた。
けれど、機械を丸一日動かし続けるなんて、普通に考えたら電気代が高くなるに決まっていると疑っていた。
そこで、私のアパート(一般的な2LDK・鉄筋コンクリート造)を舞台に、実際に身をもって実験してみることに決めた。
比較したのは、寝るときや外出時にエアコンを完全にオフにしていた前年の夏と、すべての部屋のエアコンを24時間稼働させ続けた今年の夏である。
電気使用量が昨年より減った理由の分析
電気料金そのものは、社会情勢による燃料費の変動で毎年変わってしまうため、今回は純粋な「電気使用量(kWh)」で比較を行った。
その結果をまとめたものが以下の比較表である。
| 稼働パターン | 設定温度 | 月間電気使用量(目安) |
|---|---|---|
| 昨年(夜間・外出時は停止) | 25度〜26度(手動調整) | 多め(ピーク時が多い) |
| 今年(24時間つけっぱなし) | 27度〜28度(風量自動) | 約10%減少 |
毎日こまめに消していた昨年よりも、丸一日稼働させていた今年の方が、電気使用量が約10%も少なくなっていた。
このデータを見たとき、私は自分の目を疑ったが、エアコンの仕組みを紐解いてみると非常に理にかなった結果であることが分かった。
昨年は夜間停止で今年は24時間稼働なのに使用量が減った3つの理由
起動時の急激な消費電力を抑えられた事実
エアコンが最も電力を消費するのは、部屋の温度を急激に下げようとフル稼働しているときである。
夜間にエアコンを止めると、朝起きる頃には壁や天井まで熱を帯びた、いわゆるサウナ状態の部屋に戻ってしまう。
そこから一気に部屋を冷やそうとするたびに、エアコンは限界までパワーを使い、電力を大量に消費していた。
一方、24時間稼働させておけば、室温が常に一定に保たれるため、エアコンは少ない電力で運転を維持できる。
自動車の運転で例えるなら、一般道の信号でストップ&ゴーを繰り返すよりも、高速道路を一定の速度で走り続ける方が燃費が良いのと同じ現象である。
室温の安定による壁や天井の蓄熱防止
部屋の中にある家具や壁、天井は、一度暖まってしまうとなかなか冷めない性質を持っている。
夜間に運転を停止すると、これらの物体がじわじわと熱を蓄えてしまう。
翌朝にエアコンをつけて空気だけを冷やしても、壁や家具から熱が放射され続けるため、なかなか涼しく感じられない事態に陥る。
その結果、設定温度をさらに下げてしまうという悪循環が生まれていた。
24時間稼働は、部屋の構造物自体を冷えた状態にキープするため、微風運転だけで快適さを維持できる環境を作ってくれる。
- 部屋が温まりきる前に、微弱な運転で室温をコントロールし続けたこと
- 帰宅時や起床時に、室温を下げるためのフルパワー運転を完全に排除できたこと
- 風量を「自動」に設定し、無駄な強風運転を防いだこと
24時間稼働で電気代を抑えるための必須条件
住宅の気密性と断熱性の影響
ただし、どんな住環境でも24時間つけっぱなしが安くなるとは限らない。
窓から熱気が入り込みやすい古い一戸建てや、隙間風の多い部屋の場合、冷気がどんどん外へ逃げてしまう。
そうなると、エアコンは室内を冷やそうと常に強運転を続けてしまい、電気代は雪だるま式に膨れ上がってしまう恐れがある。
我が家のようなコンクリート造のアパートや、近年の高気密・高断熱仕様の住宅であれば、冷気が逃げにくいため、つけっぱなしの恩恵を十分に受けられる可能性が高い。
設定温度と風量自動運転の組み合わせ
電気使用量を抑えるためには、設定温度を「27度から28度」の少し高めに設定することが肝心である。
そして、最も大切なのが風量を「弱」ではなく「自動」に設定しておくこと。
風量を弱に固定してしまうと、部屋が冷えるまでに時間がかかり、結果的に消費電力を長引かせてしまう。
自動設定にしておけば、一気に冷やした後は勝手に微風に切り替えてくれるため、最も効率的な運転をエアコン自身が選んでくれる。
エアコンを賢く乗りこなすための第一歩
24時間稼働のメリットは、電気使用量が減るという家計への優しさだけではない。
帰宅した瞬間のあの不快なモワッとした熱気から解放され、いつでも快適な部屋が迎えてくれる心のゆとりは、想像以上に大きかった。
もし、こまめなオンオフを繰り返していて電気代に悩んでいるなら、まずは「30分から1時間程度のちょっとした外出時」だけでも、消さずにつけっぱなしにすることから始めてみてほしい。
まずは小さな変化から試してみて、自分の住まいに合った最適な運転ペースを見つけていこう。
ただ、こうして長時間エアコンを動かし続けると、今度はフィルターの汚れや内部のカビの発生具合が心配になってくるかもしれない。
そのお手入れの頻度や、エアコン本体の寿命に与える影響については、また改めてじっくり向き合いたいテーマである。

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